シルバーウィーク前半、郷土芸能部は県民芸術文化祭や城端むぎや祭への出演で忙しかったが、私は失礼して、土日を利用し妻の実家(山口県岩国市)に二人で行ってきた。妻の父は10年ほど前に他界し、一人暮らしをしていた義母も昨年施設に入ったため、妻の実家は空き家状態となっていた。今回、ついに家を手放すこととなり、お坊さんを呼んで「仏壇じまい」なるお勤めをしてもらうための岩国行きだった。

 岩国に行く途中、広島市内にある仲人(なこうど)さんの家に立ち寄った。こちらも随分ご無沙汰しており、すでに4年前ご主人はお亡くなりになり、奥さんと20年ぶりにお会いした。ご主人は、私が学生時代お世話になったアルバイト先(広島県中央児童相談所)の当時課長さんで、結婚に際し、仲人をお願いし快く引き受けてくださった方だった。

 児童相談所(児相)で大学生がどんなアルバイトかというと、児相には、やって来るさまざまな問題(本人自身や家庭の問題)を抱えた子ども達を、処遇が決まるまで一時的に預かる施設(一時保護課)があった。日中は職員が面倒を見るが、夕方から翌朝までの宿直を行う(一緒に夕食を食べ、遊び、勉強させ、風呂に入れ、寝かせ、翌朝また一緒にご飯を食べて職員に引き渡す)という仕事だ。児相でのさまざまな子ども達との出会いや関わりは、私にとっては「教育実習」そのものであり、その後教員として仕事をしていくうえで大きな礎(いしずえ)となった。

 懐かしい方ともお話しができ(ご主人とは仏前であったが)、岩国で無事「仏壇じまい」も終え、妻の実家の片付けをしていたところ、これまた懐かしいものを見つけた。何とそれは妻が少女時代に買い集めていた古いレコードの数々だった。ピンクレディーや山口百恵、かぐや姫やアリスなどなど、思わず二人で「これらは富山に持って帰ろう」ということになった。私としても、青い三角定規の『太陽がくれた季節』のシングルジャケットを眺めながら、これは近々何としてもレコードプレーヤーを調達しなければと考えている次第である。