9月の週末は何かと忙しく、家でのんびり過ごした日はほとんどなかった。郷土芸能部の公演やバレー・スキー部の応援、末っ子の野球の試合観戦などでほぼ休日を費やし(そう言えば、岩国にも行ってきた)、気がつけばあっという間に9月が過ぎ去った。それなりに充実した9月の週末だったが、さすがに自分の時間がほしいなあと思い、前の勤務先で仲良くしていた先生と連絡を取り合い、温泉に行くことにした。
実はその先生とは、これまでも何度か一緒に「温泉ドライブ」に出かけたことがあり、昨年の秋にも、(コロナ禍の間隙を縫って)日帰りで近県の温泉を巡るドライブを敢行した。今回、本当は昨年行きたかった「万座温泉」(長野と群馬の県境にあり、白濁の硫黄泉で有名)まで足を伸ばそうということになり、先週土曜の早朝、私の車で中年男二人の日帰り温泉旅に出発した。
行きの車の中では、もっぱら互いの近況を語り合ったが、私が先日生徒寮で行った人生講話「インド放浪記」の話で結構盛り上がった。寮生の皆さんはご存知だが、学生時代、私にとっては人生初の海外旅行で何度となく「苦難」に遭遇し、その度に何とかピンチを切り抜けて無事日本に帰り着いたというトンデモナイ旅の話である。ふと一昔前、猿岩石(有吉弘行と森脇和成)が『進め!電波少年』という番組で過酷な旅をしていたのを思い出してしまった。
万座温泉に着くと、想像を遙かに超えた素晴らしいお湯で、至福の時間を過ごさせてもらった。すでに紅葉も始まっており、ナナカマドの赤い実と青空に浮かぶ白い雲のコントラストも見事だった。温泉を堪能しての帰り道、突然車の前輪がパンクするという予期せぬアクシデントに見舞われた(標高1,500mを超える国道にて)。ここに来てインドの旅の再来かと焦ったが、今回も何とか切り抜けてその日のうちに富山に帰り着くことができた。多少のことには動じない今の自分があるのは、かつてインドで鍛えられたおかげなのかも知れない。