今月に入り、県立八尾高校と県立入善高校で創立百周年記念式典が挙行され、それぞれの式典にお招きいただいた。八尾高校では、式典に先立ち郷土芸能部の生徒らが「越中おわら節」を披露し、百周年の式典に華を添えた。また入善高校では、式典後、先月現役を引退した平昌(ピョンチャン)冬季五輪スピードスケートの金メダリスト・小平奈緒さんの講演(演題は「人とつながる」)を聴いてきた。

 平昌五輪から4年以上の歳月が流れたが、皆さんは「あのシーン」を憶えているだろうか。スピードスケート女子500m決勝で勝った小平奈緒選手が負けた韓国のイ・サンファ選手を讃え、二人でレース後に肩を抱き合いながらリンクを一周したシーンである。あの時、小平選手はイ・サンファ選手に「よく頑張ったね、サンファをリスペクト(尊敬)しているよ」と声をかけたという。

 小平奈緒さんは自身の競技人生を振り返り、これまで数多くの挫折や苦しみを経験し、それを乗り越えるために懸命に努力してきたという。そして、2年間のオランダ留学中に「相手の想いを知りたい、自分の想いを伝えたい」と考えるようになり、いろいろな人とつながることが自分を強くし、人生を豊かにするということに気づいたというのだ。相手の想いを知ろうとすることは、相手をリスペクトすることに繋がる。長年ライバルとして闘ってきたイ・サンファ選手の想いがわかっていたからこそ、あのシーンが生まれたのだと納得できた。

 さて、先日開催された県高文祭の郷土芸能部門で、本校郷土芸能部が最優秀賞で来年夏の全国高総文祭・鹿児島大会の切符を手にし、部員たちは満面の「笑顔」を見せた。だが、長年のライバルである八尾高校郷土芸能部の生徒らは言葉では表せないほどの悔しい想いをしたことだろう。本校の生徒らは小平奈緒さんのように、ともに闘った相手をリスペクトする気持ちを忘れず全国大会に臨んでもらいたい。そしてこれからも、部活動に限らず、周りの人達が皆さんを応援したいと思うような高校生活を送っていってもらいたい。