3月1日は南砺平高校の卒業式だ。今年は26名の3年生が本校を巣立っていく。今年の卒業生は、新型コロナウイルスの影響をもろに受けた学年だった。入学当初よりいきなり2ヶ月に及ぶ休校。文字通り不安に包まれた高校生活のスタートだった。1年次の郷土芸能部の全国高総文祭高知大会はWEB総文となり、2年次の台湾への海外研修も中止となった。勉強や部活動、各種行事はもちろん、寮での生活も大きな制約をうけ、何かと息苦しい高校生活を余儀なくされ、校長として大変申し訳なく思っている。
しかし、このような困難な中にあって、3年生の皆さんは本当によく頑張ってくれた。2年次に中止となった海外研修は、3年次に2泊3日の福島・会津方面への修学旅行というかたちで実現した。そして、昨夏の郷土芸能部の全国高総文祭東京大会では、コロナという逆境を見事にはね除け、8年ぶり3度目の日本一に輝いた。3年生部員の皆さんが、それまでの悔しい思いをバネに「絶対に日本一になる」という強い思いで練習に打ち込み、1・2年生を引っ張ってくれたおかげだ。
卒業式は高校生活のピリオドであり、次の新たなステージへの出発点でもある。卒業生の前途には、必ずしも希望に満ちた明るい未来が待っているとは限らない。むしろ、先行きは不透明で、コロナ以上の困難が待ち受けているかも知れない。それでも、卒業生の皆さんは前を向いて進んで行かなければならない。辛い出来事に直面したらどうしたらよいのだろうか。
人が困難に立ち向かおうとするとき、自分を取り巻く周りの人たち、家族や先生そして何より「苦楽をともにした仲間たち」の存在が、自分を勇気づけ後押ししてくれるのだと思う。卒業生の皆さんの瞳を閉じたまぶたの裏に、自分の大切な「あなた」がいつまでも存在し続けることを祈りたい。本校の先生方もきっと「皆さんにとって私もそうでありたい」と思っているに違いない。