今年は例年になく春の訪れが早かった。ここ五箇山でもすでに先週からあちこちで桜が咲き始め、10日(月)の入学式には、校舎前庭の桜がちょうど満開となった。見事な桜に迎えられ、新たに23名の新入生が本校に入学した。桜は日本の春を代表する花であり、その咲き誇る姿が私たちの目を楽しませてくれるだけでなく、何よりも春そのものを実感させてくれる。

 入学式の式辞では、新入生の皆さんに二つのことをお願いした。一つは「失敗を恐れず、さまざまなことに挑戦してほしい」ということ。もう一つは「本校の良き伝統と校風を受け継ぎ、さらに発展させてほしい」ということだ。南砺平高校には、他の高校にはない少人数を生かした教育活動と、この地域ならではの郷土芸能、スキー、世界遺産といった素晴らしい教育環境がある。新入生には、悔いの無い高校3年間を送っていただきたい。

 そして、式辞では触れなかったが、もう一つお願いしたいことがある。それは新しい友達や先輩、先生方との「出会いを大切にしてほしい」ということだ。多くの新入生にとっては、豊かな自然、歴史と伝統文化に彩られたこの五箇山という地域、さらにはこの地域に暮らす人々との出会いも待ち受けている。新たな出会いは、皆さんの成長を促し、今後の人生をも大きく左右するものになるかもしれない。

 私自身を振り返ってみると、これまで多くの人々との出会いを繰り返してきた。中には、親しく長く付き合える人もいれば、自分とは合わず、どうも苦手だなという人もいた。世の中には自分と違ういろいろな人がいる。その違いを認め、相手を理解し受け入れることができれば、自らの人生もきっと豊かなものになるはずだ。新入生に限らず本校の生徒には、「出会い」をきっかけに、ともに泣き笑えるような、優しさで満ちあふれた人間として成長してくれることを願っている。