夏と言えば「○○」。皆さんなら○○にどんな言葉を入れますか。本校にとっては、間違いなく「全国高総文祭」だろう。今夏の開催地は鹿児島県。第47回大会ということで、丁度全国を一巡したことになる。そして、郷土芸能部門の会場は鹿児島市から約380㎞離れた奄美大島(奄美市)の奄美文化センターというところだった。

 昨年11月、県高文祭で今大会の出場権を獲得した際、私は嬉しさとともに何となく嫌な予感がした。場所的に日数や経費が例年の倍以上かかるのではないか、時期的に台風の到来で大会が中止になるのではないか、など。大会が近づき郷土芸能部のOB会や保護者の会の皆さんが募金活動に奔走していただき、また各方面から激励金を頂戴した。多少なりとも保護者の負担を押さえることができたかなと思っていた矢先、心配していた台風が発生。よりによって沖縄・奄美に接近という事態に見舞われ、思わぬ出費を強いられることとなった。

 大会自体は開催されたものの、台風6号の影響で予定していた帰りの鹿児島行きフェリーが欠航となり、ホテルに余分に3日間の滞在を余儀なくされた。何とか4日夕方の伊丹行き飛行機と大阪からの列車を乗り継ぎ、5日午前2時、ようやく富山(五箇山)に全員揃って帰り着いた。翌日以降の奄美空港発の飛行機は全便欠航(7日現在も)となったことを考えると、まさに「奇跡の帰還」だった。

 こきりこ館で真夜中の「報告会」が行われ、河口部長の「二連覇は逃したが、観客の皆さんに日本一の感動を届けることができた」という言葉が印象的だった。今年の部員たちは、昨年の「日本一」とはまた違った貴重な経験をしたと思う。私としても、部員全員が無事に帰ってきてくれたことに心から感謝したい(経費が大幅に膨らんだことには頭が痛いが・・)。ちなみに私の学生時代、夏と言えば「TUBE」(サザンという人もいたが)。青い海や空、白い砂浜ではなく、暴風雨に見舞われた奄美の海や空が、今年の部員たちの記憶に永く刻まれたに違いない。