8日(月・祝)は冬休み最終日。能登半島地震からちょうど一週間が経過し、犠牲者の数が日に日に増え、富山市の中学1年生や30代女性も帰省中に被災して亡くなったという。未だ多くの方々が避難所生活を強いられており、余震に怯える日々を過ごしている。私は、外に出るのも少々怖かったのだが、前から見たいと思っていた映画を観にファボーレの映画館に足を運んだ。
その映画は『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』(監督:成田洋一)。SNSで話題になった汐見夏衛の同名小説を映画化した作品だ。親にも学校にも不満ばかりの女子高生・百合(福原遥)は、ある日母親と喧嘩して近所の防空壕跡に逃げ込む。翌朝百合が目覚めると、そこは太平洋戦争末期(1945年6月)の日本だった。百合はそこで出会った彰(水上恒司)という青年と恋に落ちる。しかし彰は特攻隊員で、終戦間際ついに彰に出撃命令が下る。
間もなく日本が戦争に負け平和な時代が来ることを知っている百合は彰に「征かないで」と懇願するが、彰は百合への気持ちを胸に仕舞い特攻機に乗り込む。彰の出撃を泣きながら見送る百合。そして再び現代に戻った百合は・・・。この映画は二人のラブストーリーとして描かれているが、その本質は、戦争というものの理不尽さに他ならない。残された者の悲しみや喪失感は永遠に消えることはない。
戦争はしてはいけないことだとは誰もが理解しているはずだ。しかし、ロシアのウクライナ侵攻やイスラエルのパレスティナへの攻撃など、現実の世界では未だに戦争や紛争が絶えない。そしてひとたび戦争になれば、国のため、愛する者を守るため一人でも多く敵を倒す(殺す)ことが善であり正義となる。若い人達、特に高校生の皆さんには、ぜひこの映画を観てほしいと思う。将来、日本が戦争という過ちを二度と起こさないために、好きなのに離れなければならない悲しみを繰り返さないために。