およそ2年半にわたり書き綴ってきたこの「校長室日記」もついに最終号を迎えることとなった。本校でのさまざまな出来事や生徒の様子、五箇山の四季折々の自然、そして何よりも、私が普段考えていることや、生徒や先生方に伝えたいことなどを自由気ままに書かせていただいた。私自身や家族のプライベートに関わることもいろいろと暴露(?)してしまい、恥ずかしい限りである。

 思えば、自分自身の高校時代はお世辞にも楽しいと思えるものではなかった。勉強も部活もうまくいかない。成績が落ち込み、部活も2年夏でやめてしまった。女の子にも2度ほど振られた。周りの人達とくらべ、どうして自分はうまくできないのか悩みの連続だった。それでも、話のできる仲間や友人がいて、いろいろ励ましてもらったりして何とか高校生活を乗り切ることができた。その時はわからなかったが、後から振り返ってみると、やはり高校は楽しいところだったのかなと思うのだ。

 だからこそ、教員として高校生の前に立つことになった時、「学校は本当は楽しいところなのだ」ということを何とかして生徒に伝えたいと想い、その一心で教員生活を送ってきた。勉強は辛いけどその面白さがわかれば楽しい、頼りになる友達や先生がいる、仲間と協力したり競い合ったり、思いっきり泣いたり笑ったり、怒られたり褒められたりと、こんなことを経験できるのは学校以外にはない。

 今、あらためてこの南砺平高校で3年間校長として過ごさせていただいたことに感謝したい。五箇山の豊かな自然や文化、地域の方々の本校に対する温かい支援、目標に向かってひたむきに努力する生徒、悩みを抱える生徒らに親身に寄り添う先生方の姿は、いつまでも私の胸の中に残り続けるに違いない。私自身、頼りない校長であったかも知れないが、楽しい3年間を過ごすことができた。4月からは一教員に戻って生徒のためにできることを精一杯やっていこうと思う。最後に、『ありがとう』(いきものがかり)の歌にのせて、本校の校歌の歌詞にあるよう南砺平高校が「不滅の母校」であり続けることを心より願い、筆を置くこととする。皆さん、ありがとう。そして、さようなら。