2013年と2014年、2年連続で東京・羽田空港は「清潔な空港・世界一」に認定された。その栄誉を陰で支えたある一人の清掃員がいた。その清掃員は新津(にいつ)春子さんという方だ。前に日記でとりあげた「プロフェッショナル 仕事の流儀」で、2015年6月「心を込めて、当たり前の日常を」というタイトルで紹介された。

 新津さんは1970年、中国瀋陽(しんよう)で日本人残留孤児の父と中国人の母との間に生まれた。小学生の時、父が日本人であることでクラスのみんなからいじめを受けた。17歳で家族と日本にやってきて、高校に通いながら清掃会社でアルバイトを始めた。しかし、日本語が上手く話せず、アルバイト先でも酷い扱いを受けたという。その時、仕事を人一倍がんばって、辛く当たる人たちを見返してやろうと思ったそうだ。

 彼女に転機が訪れたのは、27歳の時。清掃技能選手権の全国大会で最年少日本一に輝いたのだ。それまでは、とにかく早く・綺麗にすることしか頭になかったが、使う人のことを思う心が大事だということに気づいたという。この「思う心」こそ清掃に必要な「やさしさ」であり、清掃のプロとしての彼女を支えているものなのだ。その後も彼女は、20年にわたって羽田空港の床や洗面所、トイレを毎日ピカピカに磨き続けてきた。

 仕事でも勉強でも、やらされているうちは決してものにはならない。頑張っていても、何のために(誰のために)この仕事(勉強)をしているのか分かっていないようでは、いい仕事(勉強)は出来ないのだろう。番組では、汚れを見つけると思わず微笑む彼女の表情が印象的だった。私も辛いことから逃げず、「思う心」をもっていい仕事ができる人になりたい。