3年生の皆さん、卒業おめでとう。未だ新型コロナウイルスの収束が見通せないなか、皆さんはこの南砺平高校を巣立つこととなった。思えば、皆さんは臨時休校や分散登校、リモートによるホームルームや授業など、これまで誰もが経験したことのない高校生活を余儀なくされた。皆さんが楽しみにしていた台湾への修学旅行も中止せざるを得なくなり、校長として誠に申し訳なく思っている。

 さて、皆さんは4月から、それぞれ大学・短大・専門学校・就職へと人生の新たなステージに進んでいくことになるが、自分の将来に「夢」をもっているだろうか。進学する人は何のために学ぶのか、就職する人は何のために働くのか、一人一人が自らの将来像を思い描き、夢や目標をもって日々の生活を送ってほしい。

 昨年、自らの夢の実現に向け、ひときわ輝いていた二人の日本人アスリートが私の印象に残っている。一人は競泳の池江璃花子選手、もう一人はアメリカ大リーグの大谷翔平選手だ。池江選手は、白血病という難病を克服し東京オリンピックへの出場を果たした。大谷選手は、日本人として投打二刀流でのMVP獲得という偉業を成し遂げた。そして今年に入り、本校スキー部OBの山下陽暉選手が、日本代表として北京冬季オリンピックに出場し、私たちに勇気と希望、そして元気を与えてくれた。

 彼らに共通するのは、いずれも夢をもち、それを言葉にし、不断の努力を積み重ねてきたということだ。夢が夢で終わってしまう人の方が圧倒的に多いなか、夢を実現させるには、具体的な「目標」を立てる(できれば文字や言葉で表す)こと、その目標達成のため「努力」を続けること、失敗しても「あきらめない」こと、に尽きると思う。自分に自信がもてないとき、困難に挫けそうになったときは、『夢をあきらめないで』(詞・曲:岡村孝子)を聴いてほしい。どんな小さな夢であっても(たとえ人が聞いたら笑うようなことでも)、夢をもって頑張っている人の瞳はキラキラ輝いている。皆さんの瞳が、歳を重ねてもいつまでも輝き続けていることを願い、遠くにいて皆さんを信じ、応援しています。(生徒会誌『清流』第70号・巻頭言より一部引用)