最近、『鎌倉殿の13人』にハマっている。三谷幸喜が脚本を務める今年のNHK大河ドラマである(毎週日曜夜8:00放送中)。鎌倉殿とは源頼朝に始まる鎌倉幕府の将軍のこと。13人とは頼朝の死後、幕府政治を支えた13人の御家人たちをさす。ドラマの主人公は、頼朝の妻・北条政子の弟で、後に2代執権として幕府の実権を握り、いわゆる「執権政治」を確立した北条義時だ。今ドラマでは小栗旬が演じているが、先日放送(第16回)の主役は、頼朝の弟・源義経だった。

 源義経といえば、日本史に登場する人物の中でもかなり人気が高い。奇想天外な戦略で平家を壇ノ浦に追い詰め滅亡させるが、後白河法皇に取り込まれ兄・頼朝と対立。弁慶とともに奥州藤原氏のもとに逃げ、最後は頼朝の圧力によって藤原泰衡(やすひら)に攻められ自害した。その英雄ぶりと悲劇的な最期に、人々は共感し同情を禁じ得ないのだろう。

 今回の大河ドラマを見ている人はお分かりかと思うが、三谷作品では、源義経はかなりぶっ飛んだ人物として描かれている。そして、その義経を演じているのが俳優の菅田将暉である。昨年、映画『糸』で共演した女優・小松菜奈との結婚が話題となり、歌手としても2017年「見たこともない景色」でデビューし、多彩な才能を発揮している。私が菅田将暉に関心をもったのは、たまたま自分と同じ誕生日(2月21日)の有名人をネットで検索したのがきっかけだ。それ以来親しみを感じ、彼の出演する映画やドラマ、彼の歌う曲にも注目するようになった。

 菅田将暉に「まちがいさがし」という楽曲がある。米津玄師が作詞・作曲を手がけ、ドラマ『パーフェクトワールド』の主題歌に使われた。2019年末の紅白でも歌われた曲だ。日々の生活の中で、他人と比べ「自分はダメだなあ」とつい落ち込んでしまうことは誰にでもある。劣等感に苛(さいな)まれ自信を失いかけたとき、この曲を聴くと、少し救われたような気持ちになる。人生に正解はなく、現実の世界は間違いだらけ。正しく在(あ)れない「不完全な自分」を受け入れることができれば、人生、大概のことは何とでもなりそうな気がするのだ。