先週金曜の夜、NHK富山の「きとラボ」という番組で、本校と平地域づくり協議会とで昨年制作した映画『平村眠謡奇譚』が放送された。撮影は地元の地域おこし協力隊・林賢二さんにお願いしたが、シナリオ原案は昨年の3年生が担当し、監督、スタッフ、出演者を本校生徒と教員らで手がけた。主人公の女子高生・美咲が江戸時代にタイムスリップし、かわりに流刑小屋の流刑人が現代の南砺平高校にやってくるというストーリーである(シナリオの原題は「時をかける平っ子」だった)。

 民謡がうまく唄えず落ち込んでいた主人公の美咲は、5代前の先祖と出会うことで自信を取り戻していく。また、郷土芸能部の生徒らは、流刑人から「君たちは何のために唄ったり、踊ったりしているのか?」と問いかけられ、あらためて自分たちが行っている活動の意味について自ら問い直す。美咲役を演じた生徒も、この映画への出演をきっかけに、永く受け継がれてきた五箇山民謡をこの先もずっと守り続けていきたいという思いが強くなったという。

 そして本校の創校記念日である6月6日、富山市出身の映画監督・本木克英氏をお招きし、「映画づくりの面白さ」と題した記念講演と『平村眠謡奇譚』の出演生徒らとのトークショーを開催した。実は、本木監督と私は高校時代の同級生で、今回、本校生徒らが中心となってささやかな映画を作った話をしたところ、忙しいスケジュールの合間を縫って東京から五箇山に足を運んでくれることとなったのだ。

 本木監督の講演から、大勢のスタッフで一つの作品を作り出すという楽しさや面白さ、またその大変さがよく伝わってきた。今まで、多くの人たちからの応援でここまでやってこられたという。またトークショーでは、ざっくばらんにお話いただきとても楽しい時間を過ごすことができた。本校としては、今回の映画制作を弾みに地域との関わりを一層深めていきたいと考えている。本木監督の今後ますますのご活躍を心からお祈りしたい。