3年生26名が2泊3日の修学旅行から無事帰ってきた。本来ならば、昨年台湾へ海外研修旅行に行くはずだったがコロナ禍で中止となってしまった。せめて国内でもと学年でいろいろ検討した結果、行き先を「福島県」にして何とか実現に漕ぎつけた。主な訪問先は3カ所。初日から2日目にかけて「ブリティッシュヒルズ」、2日目の午後は「東日本大震災・原子力災害伝承館」、最終日は「会津武家屋敷」だった。

 旅行先としては一見「地味」と思われるかもしれない。しかし、人気のTDLやUSJといった定番を敢えて外し(コロナの不安もあった)、私としてはよく考えられたプランだったと思っている。ブリティッシュヒルズは「パスポートのいらない英国」という謳(うた)い文句の語学研修・宿泊施設であり、「伝承館」は未曾有の大震災と原発事故の被害、復興の現実や課題を学ぶことができる施設だ。

 そして、会津若松は幕末から明治にかけ戊辰戦争の舞台となり、鶴ヶ城(会津若松城)の落城、飯盛山での白虎隊の自刃など「会津藩の悲劇」を思い起こさせる。一方で、新政府軍を相手に果敢に戦った会津の武士らを育んだ藩校「日新館」や、「ならぬことはならぬものです」で有名な「什(じゅう)の掟」など、会津藩士の気風を感じ取ることができる。今回生徒らは「会津武家屋敷」の見学が中心だったが、時間があればゆっくり巡りたい街である。

 私は過去4度、会津地方を訪れたことがある。喜多方ラーメン食べ歩きや裏磐梯の五色沼、猪苗代湖畔の野口英夫記念館も印象深いが、何と言っても鶴ヶ城天守閣からの360度のパノラマは絶景で、会津の象徴・磐梯山の眺望が素晴らしかった。思えば、会津では五箇山に劣らず数多くの民謡が歌い継がれており、「会津磐梯山」がその代表と言える。いつかまた会津に行く機会があれば、今度はぜひ春先に「八重の桜」を眺めてみたい。