私は大学時代、サークル活動とアルバイトに明け暮れる毎日を過ごしていた。さらに、柄にも無くボランティア活動にも首を突っ込んだりと、今振り返ると超多忙な学生生活を送っていた。学生らしくもう少し真面目に勉強しておけばよかったと後悔する反面、大学の授業で学んだことより、それ以外の場面で学んだことの方が圧倒的に多かったように思う。
そもそも、高校卒業までの自分はどちらかというと真面目で面白みのない人間だったと自分では思っている。真面目さは決して悪いことではないが、中学・高校時代、女の子に告白して振られるという痛い経験を重ねた私は、自分にはそれだけの魅力がないのかと結構落ち込んだ。そんな私が大きく変貌したのが大学時代だった。サークル活動もアルバイトもボランティアも、その全てが自分を成長させ、人間としての幅を広げてくれたと思っている。
中でも「野外活動サークル(通称:野活)」での活動は、自身の人間的成長に大きな影響を与えた。その名のとおり、野外活動全般、特にキャンプや登山、バックパッキングなど、サークルの仲間達とテントを担いで日本全国を駆け巡った。夏は北海道や東北、秋は四国、春は九州などで合宿を行い、大雪山・岩手山・伯耆大山・石鎚山・九重山・宮之浦岳といった日本各地の名だたる山々にも登った。
四季折々の山には随分魅了されたが、海もまたよかった。特に日本最北端の宗谷岬、四国の足摺岬で見た水平線は「地球が丸い」ことを実感できた。個人的に高知の桂浜に立つ坂本龍馬と室戸岬に立つ中岡慎太郎の銅像をそれぞれ見に行ったのも印象深い。思えば、宗谷岬と室戸岬はバスで巡った。別に傷心の旅と言うわけでは無かったが、自然と『岬めぐり』(山本コータローとウイークエンド)が脳裏を駆け巡り、今でも懐かしく思い出される。