8月1日の夜(2日未明にかけて)は、富山市の人々にとって忘れることのできない「富山大空襲」の日である(私的には「結婚記念日」でもあるのだが)。太平洋戦争末期、米軍は日本の地方都市への空襲を繰り返し、77年前のこの日、富山のほか八王子、水戸、長岡にもB29が飛来し、焼夷弾による爆撃が行われた。戦後、富山大空襲で亡くなった多くの人々の慰霊と復興への願いを込め、神通川で毎年花火大会が開催されるようになった。

 今年、コロナの影響で3年ぶりに神通川花火大会が開催されることとなったが、当日は午後から激しい雨が降った。誰もが開催を危ぶんでいた夕方6時過ぎ、雨はあがり、東の空に見事な虹が出現した。私としても久々にくっきりとした虹を目にした瞬間だった。思わずスマホのカメラで何枚も撮影し、花火大会のことは忘れ、何かとても幸せな、良いことが起こりそうな気分になった(実際、後日郷土芸能部が日本一に輝いた)。

 虹には、希望、幸せ、夢、未来といったイメージがあると思うのは私だけだろうか。気になっていろいろ調べてみると、面白いことがわかった。まず、虹という漢字が虫偏なのは、虫はへび、工はつらぬくという意味で、古代中国人は虹を空に横にかかる「竜」と考えていたようである。また、虹の色は日本では7色(赤・橙・黄・緑・青・藍・紫)、アメリカやイギリスでは一般的に6色、ドイツや中国では5色、アフリカでは2色という部族もあるとのこと。国や地域によって文化の違いからなのか、虹の見え方(色数)が違うらしい。

 そもそも虹は、大気中に浮かんでいる微少な水滴の中で太陽の光が屈折・反射して生ずる現象で、水滴がプリズムの役目を果たし、光が赤から紫の色の帯に見えるとのことだが、私にとっては、福山雅治や菅田将暉の『虹』という曲(そう言えば綾香の『にじいろ』も)を想起し、「幸せな未来」の象徴といった存在なのである。