前回の日記で8月1日(2日未明)の「富山大空襲」に触れたが、8月は日本人にとって戦争や平和に思いを巡らす月でもある。1945年8月6日は広島に、9日は長崎に原爆が投下された日であり、15日は太平洋戦争の終戦記念日である。あれから77年。幸いにも日本は直接戦争の当事国になることなく今日に至っているが、世界を見渡すと、繰り返し戦争や紛争が起こっており、ロシアのウクライナ侵攻も未だ出口が見えない状況だ。

 皆さんは『へいわとせんそう』(文:谷川俊太郎、絵:Noritake)という絵本をご存知だろうか。2019年3月ブロンズ新社から発行された子ども向けの「平和を考える絵本」だ。この絵本は、簡単な短い言葉と分かりやすいイラストの組み合わせで、平和な時と戦争の時を比べるかたちでページが進む。そして、最後の見開きのページで「みかたのあかちゃん」と「てきのあかちゃん」が全く同じイラストで描かれ絵本は終わる。

 この絵本を読むと、敵も味方も何ら変わりないことにあらためて気づかされる。また、なぜ戦争が起きてしまうのか考えさせられるとても秀逸な作品だ。5歳の園児でもわかる内容だが、なかなか奥が深い(中学生や高校生にもぜひ読んでほしい絵本だ)。もちろん、それぞれの戦争は起こるべき原因や背景があって起こっているのだが、この絵本を読むと、戦争というものは人間の「想像力の欠如」が引き起こすものではないかと思わざるを得ない。私自身、これまで歴史の授業で生徒らに一体何を教えてきたのか恥ずかしい限りだ。

 こんなことを考えながら、あらためてジョン=レノンの『Imagine』を聴いてみた。「想像してごらん、天国もなければ地獄もない、国もなければ宗教もない」「みんながただ平和に生きている、みんなが世界を分かち合う、そして世界はきっと一つになる」。プーチン大統領に今一番聴いてもらいたい曲でもある。